暖かい日が続いた春のお彼岸、霊園の参道を歩いていると、向こうから杖をついたおじいさんが、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくるのが見えました。
「隣のお墓の方かな?」
そう思った瞬間、おじいさんはなんと我が家のお墓の方へと歩いてきたのです。
「あっ、違った、違った」
おじいさんはそう言いながら、隣のお墓へ移動しました。しかし、そこでもまた「あっ、違った、違った」と、さらに隣のお墓へと移動されたのです。どうやら、おじいさんは隣の隣のお墓を探していたようでした。
広い霊園では、お墓の場所を間違えてしまうこともあるのでしょう。
私もあります…
そのおじいさんは帰り際お墓に向かって
「また来るからね!いや、来れるかな?」
と笑いながら帰って行きました。
おじいさんの年齢を考えると、もしかしたら、次に来られる保証はないのかもしれない。いや私達だって何があるかわからない。
お墓参りは、亡くなった人を偲ぶだけでなく、生きている私たちが自分の人生を見つめ直す機会でもあるのかもしれません。おじいさんの言葉は、私にそんなことを教えてくれたように思います。
今日も1日大事に丁寧に過ごしたいと思った春のお彼岸明けの朝でした。
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